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講演会レポート
パーキンソン病患者さんと家族のための公開講座 (2018/03/18)

注目が高まっている手術療法も選択肢に
パーキンソン病治療の幅は広がっています

3月18日、大阪で「パーキンソン病 患者さんと家族のための公開講座」(共催/日本メドトロニック、サンケイリビング新聞社)が開かれました。専門医による最新情報の講演の後は、患者さんの質問に答えるコーナーも。その一部を紹介します。

深田慶先生
大阪急性期・総合医療センター 神経内科部長
パーキンソン病治療センター長
座長 深田慶先生
谷直樹先生
大阪大学医学部附属病院
脳神経外科 助教
講演 谷直樹先生

自分らしくよりよい生活を送るために、知っておくべきパーキンソン病の治療
―薬物治療と新たな治療法
講演・谷直樹先生

脳の伝達物質が減少する病気
手足のふるえや認知症状などさまざま

パーキンソン病は、脳の中の神経伝達物質ドパミンが減少し、指令がうまく伝わらずに、運動症状などが出る病気です。ドパミン細胞は加齢とともに減りますが、パーキンソン病の場合は減少するスピードが普通より早くなり、さまざまな症状が出るのです。原因はアミノ酸たんぱく質の一種が変性して脳内の特定の場所に集まり、神経細胞に影響を与えるからと考えられています。

代表的な「運動症状」は手足のふるえです。特にじっとしていてもふるえる (安静時振戦)、動かしにくい・動きが遅くなる(無動・寡動)、筋強剛(固縮)、体のバランスが悪くなる(姿勢反射障害)が4大症状。また、「非運動症状」には睡眠障害、便秘、立ちくらみ、嗅覚障害、気分の落ち込みなどがあり、手足の痛み、痺れ、進行すると幻覚や認知症状がみられることもあります。


新しい検査法も登場し、診断しやすく
治療の基本は薬物療法

パーキンソン病は、一般的な検査、例えば血液検査やMRIでは異常を発見することが難しく、初期の診断は簡単ではありません。

最近では、ドパミン細胞が減少している様子を画像でとらえる「線条体ドパミントランスポーターDATスキャン」や、MIBGという神経伝達物質が心臓に集まっているかどうかを見ることで診断する「MIBG心筋シンチグラフィ」など、新しい検査が取り入れられ、診断しやすくなりました。

治療は、ドパミンを補充する薬の服用から始めます。ドパミン受容体を刺激して働きを活性化させようという薬もあります。さらにいくつかの補助薬もあり、薬の種類は多くあります。症状の現れ方を見ながら、それらの薬をうまく組み合わせていくのが治療の基本と考えてください。

熱心に耳を傾ける参加者。メモをとる姿も多くありました
熱心に耳を傾ける参加者。メモをとる姿も多くありました

服薬を続けていくと効果が短くなり
ウェアリングオフが出ることも

治療法は服薬だけでなく、パッチを 貼り付けたり、胃に穴をあけてチュー ブを入れ、持続的に薬を注入する療法 (経腸療法)も登場しています。

パーキンソン病の薬は、初めはとてもよく効いて運動機能が改善されるの ですが、5〜10年経つと、効いている時間が短くなっていきます。また薬が効いている状態の「オン」と、薬が切れた状態の「オフ」を、一日に何度も繰り返すウェアリングオフ(薬が効きにくくなる)や、意思と関係なく手や足、唇などが動いてしまうジスキネジアが出ることもあります。

治療の選択肢として注目が高まる
手術による「脳深部刺激療法(DBS)」

パーキンソン病の外科的治療として注目されているのが脳深部刺激療法(DBS)です。脳の奥深いところに電極を埋め込み、電気信号を送り、脳の異常活動を制御する治療法です。日本では2000年にふるえ(振戦)に保険適応となり、2013年からふるえ以 外の運動障害にも保険適応になりました。今では国内70以上の医療施設で行われています。パーキンソン病が治るわけではありませんが、およそ5〜7年ほど前の状態に戻ることができるイメージです。

一日数時間もオフの状態がある、オンとオフの差が激しい、薬が切れた時に手足が震える、ジスキネジアが激しいなど、普通の生活が送りづらい場合には効果的な方法です。

パーキンソン病の治療の選択肢は確実に広がっています。主治医とコミュ ニケーションを取り合い、家族と一緒に最新の情報を理解して、前向きになってください。


患者さんの質問に、2人の先生が答えてくれました

Q1発症から5年になります。薬はどのくらいの期間効くのでしょうか。 すくみ足などの症状もあります。

【深田先生】パーキンソン病の薬は20種類以上あります。一人一人で、症状の程度や副作用の出方が異なるため、バランスを見ながら組み合わせます。期間も組み合わせやその人により異なります

【谷先生】ドパミンを補う薬で改善するすくみ足もありますが、全く反応しない場合もあります。そのような場合には、脳深部刺激療法(DBS)が有効になることもあります。主治医に相談してみてください。


Q2夜中、足の振戦が気になって眠れません。どんな対策がありますか。

【深田先生】足のふるえはパーキンソン病の一つの症状ですが、むずむず脚症候群の場合もあります。検査がまず必要です。

【谷先生】睡眠薬を使うことで眠れるのなら、上手に取り入れるのも一つの方法といえます。


Q3パーキンソン病の進行の状態は人それぞれだと聞いています。
病状が少しでも緩やかになる方法があれば教えてください。

【深田先生】パーキンソン病の患者さんの脳には、ある種の不要なタンパクが溜まっていることが分かっています。脳内の不要なものは、普通は夜中眠っている間に自然に外に流れ出します。その自浄作用の力を弱めないように、食事、運動などの一般的、健康的な生活こそが大切です。

【谷先生】進行期に入る前から、足腰の筋力が落ちないようなリハビリを続けることが重要です。太極拳などのゆっくりした動きや、バランスを取る練習、一日30分歩くことを心がけてください。また、嚥下障害を起こしやすいので、カラオケなどで大きな声で歌うなどして、喉の筋肉と肺活量を鍛えてほしいですね。





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