パーキンソン病の治療

手術による治療(DBS)の問題点

DBSのリスクは大きく分けて、植え込みの手術に関連したものと、DBSの刺激に関連したものに分けられます。

このうち、植え込みの手術に関連したリスクは低く、脳の手術としては十分安全なものと考えられています。

刺激に関連したリスクとしては、認知機能の低下がもっとも問題になります。パーキンソン病は脳の慢性進行性疾患ですから、病気の経過とともに認知機能が低下しやすいことが知られています。実際に、年月とともに認知症になる患者さんは一定の割合でいらっしゃいます。

手術治療との関係では、DBSをした場合としなかった場合で認知症になる割合は変わりません。ただ、DBSは認知機能に負担をかけます。このため、潜在的な認知機能障害が進みつつある患者さんがDBSを受けると、それをきっかけとして認知機能の低下が急に目立ってしまいます。認知機能の点で日常生活は問題なく過ごしている患者さんの一部では、ひそかに記憶力や判断力の低下が進んでいます。こういった患者さんがDBSを受けると、ぎりぎりで保っていたバランスが崩れてあたかも急に認知症になったようになってしまうのです。また、こういった患者さんでは感情も不安定になって急に気分が落ち込んでしまったり、将来を悲観して思い詰めてしまったりすることも起きやすいことが知られています。DBSの前に記憶力や判断力といった認知機能の点検や、精神的に十分安定していることの確認をすることによって、こういったリスクを避けることができます。

執筆斎木 英資 先生(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院 神経内科) 

 

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